「京都」と言えば、多くの人が思い浮かべるのは、世界遺産の神社仏閣と京町家で構成される京都の姿であり、佇まいでしょう。『京都の色』を取り上げるにあたっては、初めに、このようなイメージとしての京都を確認しておく必要があるでしょう。
『東京の色』は、東京という地域の中に内在する色彩要素の積層された姿であると言えます。ところが『京都の色』となると、単純に地域を特定することは困難です。
京都人にとっての京都は、人によっては平安京における「洛中」の概念であったり、豊臣秀吉が作った都を囲む土塁「御土居(おどい)」の内側であったり、「田の字」地区であったりします。(「田の字」とは、京都の商業・ビジネスの中心地として繁栄してきた四条烏丸を囲む、北は御池通、南は五条通、東は河原町通、西は堀川通の2キロ四方ぐらいの地域を指します)
『京都の色』とは、京都と呼ばれる地域に起因するものではなく、皆さんの心の中にある「イメージとしての京都」と重なることが求められます。
京都にも、ブランド・アイデンティティー(BI)を旨とする有名ブランドショップが進出していますが、その路面店の多くは「京町家」という京都の衣を纏っています。このことは、「京町家」が京都のイメージを体現していることを示唆しているように思えます。
そうであれば、『京都の色』、中でも京都の景観を構成する色彩は「京町家」からスタートしなければならないでしょう。
画像上段より「イッセイミヤケ」「Hervé Chapelier」「MarieBelle」
「Paul
Smith」